わたしをみつけて


女の子はくるりと背を向けるととんでもない速さで走り出した。

とても五歳、六歳の女の子の走る速さでは無い。

あっというまに曲がり角を曲がり背中が見えなくなる。

色々な感情と疑問が頭の中を埋め尽くす。
だが今回もまた、考えるより先に体が動いていた。

女の子が曲がった角を曲がる。

そこに女の子はいなかった。

ここは階段と突き当たりに音楽室があるだけだ。

この時間はもう音楽室は鍵がかかっている。
階段を降りたのだろう。

そう思い階段を下り始める。






「こっちだよ」

「!?」


声がしたのは後ろ。

反射的に振り返った。


「ふふふ」


女の子が先程と同じように不気味に笑っていた。


どうして!?
いつの間に…!?


ここにはトイレも無いし、隠れる場所などどこにもない。
なのにこの子は急に出てきたのだ。


一体どこから?


恐怖が大きくなる。


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