わたしをみつけて
だけどそんなことに構っている暇もない。
女の子がまた背を向け走り出した。
それを追いかける。
走りながら考えた。
トイレ、机、など隠れる場所はなかった。
だったらあの子はさっき、どこにいたのか。
音楽室の鍵が開いていた?
ううん、そんなはずない。
音楽室の責任者の先生はしっかりした人だし、かけ忘れなんてあり得ない。
第一、音楽室に隠れていたならドアが開く音がするはず。
だったら一体どこに?
女の子は途中にある階段を降りずそのまま真っ直ぐ走っていき、突き当たりを曲がった。
でもそっちは…。
六秒ほど遅れて角を曲がる。
またしてもそこに女の子はいなかった。