わたしをみつけて


走ろうと準備をしていた体が一瞬にして凍りついた。

見てはいけない。

その思いとは反対に体はキィと音がなりそうなくらい緩慢な動きで振り向いた。




「どこにいくの?」



「ひっ」



そこにはあの不気味な笑顔のままの女の子が立っていた。

恐怖で情けない声を出してしまった私を嘲笑う様にクスクスと笑っている。


「あ…ぁ…」


腰が抜けて座り込んでしまった。

そんな私に合わせてか、女の子はしゃがみこむと小さな手で私の頬に触れてきた。
その手は氷のように冷たい。

体が震えた。

手は目、鼻、口へと次々と移動する。

そうして手が顔を一周し、女の子は立ち上がった。


「あ、あなたは何者なの?」


恐怖を抑え込み、震える声で問いかける。
女の子は何も言わず、ただじっと私を見るだけだ。


「そ、その人形はどうしたの?
あなた由利を知っているの?」

「あなたははじめてしまった。もうにげられない」


返ってきた言葉は質問に対する答えではなかった。


「始めた…!?
何を?逃げられないってどういう意味なの!?」


女の子は質問には答えず、鏡を私へと向けた。


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