わたしをみつけて


母が病室を出ていく。

私は白い天井を眺めていた。
物音一つしない、静寂が病室を支配する。
カーテンを開けてみると外は真っ暗だった。


今何時くらいなんだろう?


枕元に置かれている時計を確認する。
針は午前二時を指していた。

随分と長い間眠っていた様だ。


私は学校での事を思い出していた。


あれは何だったんだろう。
あの女の子は何?
それよりも…あれは現実だったの?
もしかしたら夢だったんじゃ…。


「ん?」


枕元の明かりだけの薄暗い病室で何かが光っている。

間を開けてピコピコと光る赤い小さな明かり。


「メール?」


光っていたのはテレビ台の上に置いてある携帯電話だった。

メールが来ている事を知らせる明かりが光っている。

私にメールが届くことは滅多にない。

メアドを知っているのは母と由利だけで、あとは登録しているサイトからメールが稀に届くだけだ。


「何だろう?」


不思議に思いながらもメールを確認した私は手に持った携帯をベッドに落としてしまった。


『spring_yuri…』


「なん、で…」


それは由利からのメールだった。


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