わたしをみつけて


「あの、ここ…とか…」


声が出だ。
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声だったけど。

言えた…!

だけど途端に批難の声が上がった。


「えー何それ、つまんなさそー」

「私やだー」


私はまた下を向いた。
ここから今すぐにでも逃げ出したかった。

言わなきゃよかった。
大人しくしてればよかった…。

由利は何も言わずパンフレットと地図を見ている。
由利も嫌だと思っているのだろうか。
聞かなきゃよかったと思っているのだろうか。


「ぁ…あの、やっぱり私…」


「あ、ここ恋愛運アップって書いてあるよ」


やっぱりやめる。
そう言おうとした私の言葉を遮って由利がパンフレットの神社を指差した。


「ね、こないだ好きな人出来たって言ってたよね?
いいんじゃないかな。あまり知られてないみたいだけど、そうゆう神社の方がなんか魅力的じゃない?」

「まじで?じゃあ行ってみたいかも」

「それにこの神社ならこの道通ったらここのお土産物屋さんまですぐだよ」

「あ、ほんとだ。じゃあ決定だな」

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