わたしをみつけて


この二人は仲がよく、学校でも一緒にいるところをよく見る。


「あんた達こんなとこで何してんの。昼休みに一目散に教室出てったっきり帰ってこなかったじゃん」

「これだよこれ。
今日発売日だったんだ。昼から並んでやっと買えたよ」

岸本くんはそういうと手に持っていた袋から四角いケースを出して見せてきた。

それは今子どもから大人まで大人気のシリーズのゲームで、私もCMを何度か見たことがある。
近々新作が発売されると聞いていたがそれが今日だったのか。


「いやぁ、大変だった。
学校からここまで全力疾走したのに着いてみたらもう大行列出来てたんだぜ。まじびびったし」

「馬鹿じゃないの?」


林さんの鋭いツッコミも岸本くんには聞こえていないようだった。
まだ薄いビニールが張られているケースをキラキラした目で眺めている。

それを見ながら私は数学の先生が岸本と佐田はどこに行ったんだ、と言っていたことを思い出していた。

学校を抜け出してゲームを買いに来ていたなんてバレたらただじゃす済まないだろうな。


と、そんなこと考えてる場合ではない。

ここで二人に会ったのは運がいい。
メールのことを言わなければ。



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