わたしをみつけて


たがあまりにも嬉しそうにゲームを眺めている二人を見るとなかなか切り出せなかった。

そんな私に気付いた美島さんが小声で話しかけてくる。


「どうかした?」

「メール…」


それだけで美島さんは私の言いたいことを理解してくれたようだ。

成る程といった風に頷くと今度はまだゲームを眺めている二人に話しかけた。


「買えてよかったね。
ところで今日これから暇?」

「いや、全然暇じゃない。このゲームをやるからな」

「そう。ちょっと付き合ってくれない?」


あくまでも笑顔で、だが有無を言わせない気配。


「い、いやだから暇じゃないんだけど」


二人共その気配に気付いているようで顔をひきつらせている。

だがそんなことで引き下がる美島さんではない。

無言の笑顔で二人に一歩近付いた。



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