わたしをみつけて


「じゃあ行こうか」

「おう!…って塔子、お前大丈夫か?」

「何が」


裏返った声が聞こえた。
林さんは顔を青くして固まっていて、顔だけを岸本くんへ向けている。


「いや、なんか顔が青いから。怖いならやめておいた方が…」


岸本くんは心配して言ったのだろうが、その優しさが林さんの神経を逆撫でしたようだ。
目を吊り上げこれでもかという程鋭い目で岸本くんを睨んでいる。


「余計なお世話よっ!」


大きな声で叫ぶと校舎へと歩いて行ってしまった。

手と足が一緒に出る不自然な歩き方で。


「あー…あれば完全にびびってる」


佐田くんは先に行ってしまった林さんを哀れみの目で見ていた。
その隣では美島さんが笑いを堪えている。


「塔子ったら強がっちゃって。
さて、私達も行こう。また怒られないうちに」



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