わたしをみつけて


「おぉ…。話を聞いたからかもしんないけどなんか雰囲気あるな」


岸本くんは周りをキョロキョロと見渡しながらそう言った。

昨日も同じことを思ったが誰もいない学校は独特の雰囲気がある。

昨日のこともあるから出来ればあまり長居はしなくないがそうも言っていられない。


ピロロロロ


「きゃっ」


突然鳴った電話の音に林さんが小さな悲鳴を上げた。

音は私のカバンの中から鳴っていた。


「驚かさないでよ!」

「す、すみません…」


携帯を出すと画面には"お母さん"の文字。


そういえば遅くなるって言ってない!


慌てて電話に出た。


「もしもし…」

『いすみ!?』

「は、はい!」


電話から聞こえた大きな声に背筋が伸びる。

すると安心したように長く息を吐く音が聞こえた。


『よかった…。
帰ったらいないんだもの。また昨日みたいにどこかで倒れてるんじゃないかって心配で…』


聞こえてくる声は涙声だった。


「ごめんなさい。
ちょっと出掛けてて…」

『そうなの。
それだったらメールでもいいからもっと早くに連絡してちょうだい』

「うん、ごめんね」


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