わたしをみつけて
あまり遅くまで出歩いてちゃだめよ、という母の言葉に返事をして電話を切る。
「お母さん?」
「はい。遅くなるって連絡してなかったから心配したみたいで」
いいお母さんだね、と笑う美島さん。
つられて私も笑顔になる。
それからしばらく三階を中心に校舎を歩いたが女の子は出てこなかった。
それでも林さんは終始ビクビクしていて見ていて可哀想な程だった。
風が窓を揺らす小さな音にも一々反応し、挙げ句の果てには階段につけられている鏡に写った自分に驚く始末だ。
「大丈夫、平気よ」と強がっているが正直、もう相当怖がりだということはここにいる全員にバレているのだから何の意味も無いように思える。
「きゃっ」
窓を揺らす風の音にまた林さんが小さく悲鳴を漏らす。
「おいおいマジで大丈夫かよ」
林さんの前を歩いていた佐田くんが振り返る。
「お前こんな怖がりだったのかよ」
「うるさいわねっ!
平気よ、ちゃんと前見て歩きなさいよ!」
「うわああぁぁぁ!!」
「きゃああぁぁぁ!?」