わたしをみつけて
突然一番後ろを歩いていた岸本くんが叫び声を上げた。
つられて林さんも悲鳴を上げる。
何事かと振り返った私達に岸本くんはバツの悪そうな顔を見せた。
「ちょっと驚かそうと思ったんだ。悪い」
頭を抱えて座り込んでしまった林さんに手を差し出す。
青くなっていた林さんの顔がみるみる赤くなっていく。
「あ、あんたね!
あんま調子に乗ってると本気で殴るわよっ!」
「悪かったって!もうしな…」
そこまで言って岸本くんは固まった。
視線は私達の方、私達のもう少し先を見ていて、苦笑いをしていた顔がどんどん強ばっていく。
「何なのよっ。もう騙されないわよ」
「ち、違う。あれ…」
ぎこちない動作で私達の後ろを指差す。
その手は小刻みに震えていた。