わたしをみつけて
「逃げるぞ!」
佐田くんの声に皆弾かれたように動き出す。
「塔子!」
恐怖で腰が抜けてしまった様子の林さんを美島さんが支える。
私は動かなかった。
いや、動けなかったのかもしれない。
「間宮さん早く!」
誰かの叫び声。
それでも私は動かない。
女の子は不気味な笑顔を浮かべたまま、こちらへ一歩近付いた。
「何やってんだよ!」
「ぁ…」
少し苛立ったかのような佐田くんの声。
腕を強く引っ張られようやく体が動いた。
皆一斉に駆け出しバタバタと廊下を走る。
「どうするんだよ!?」
「とりあえず学校から出よう!」
先頭を走る佐田くんに続き一階の昇降口へと急ぐ。
走りながら少し、後ろを振り返ってみたが女の子は追いかけては来ていない。