わたしをみつけて


足の遅い私は皆より少し遅れて昇降口に着いた。

佐田くんが扉を開けようとしているところだった。

だがいくら引っ張っても扉は開かない。


「早くあけろよ!」

「開かないんだよ!」


いつも冷静な佐田くんが珍しく焦ったような声を上げた。

そんなわけないだろ、と岸本くんも試してみたが扉は開かなかった。


「他行こう!
他にも外に出られるとこあるでしょ」


美島さんが走り出す。

だか結果はどこも同じで押しても引いても引っ張っても扉は開かなかった。

そしてここが外とつながる最後の扉。
祈るように見つめたが、やはり扉は開かなかった。

私たちは学校に閉じ込められてしまったのだ。


「職員室…!」


美島さんが思い出したかのように呟いた。


「職員室行こう!今ならまだ先生いるでしょ!?」

「行こう!」

「ふふふ」




突然聞こえた場違いな笑い声に動きが止まった。


< 66 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop