わたしをみつけて
「お、おい。誰だよ笑った奴」
「私達じゃないよ」
鳥肌がたっていくのが分かった。
「ねぇ、どこにいくの?」
いつのまにかそこに立っていた女の子は心底楽しそうに笑っている。
「くそっ」
ガチャガチャ
佐田くんが扉を開けようと必死にドアノブを回すが、扉からはガチャガチャと音がするだけで開く気配は無い。
「にげようとしたってむだ」
女の子は一歩づつこちらへ歩いてくる。
「あなたたちはえらばれたの」
ガチャガチャガチャ
「にげることはできない」
また一歩近づく女の子。
私達との距離はもうあと一歩という所まで来ていた。
そして
「ねぇ、わたしをみつけて」
女の子の手が私へと伸ばされる。
咄嗟に目を瞑ったその時、
ガチャン
「開いた!」
突然扉が開いた。
「急げ!」
佐田くんに引っ張られた私は転がるように外へと出た。
扉が閉まる直前、横目にチラリ見えた女の子の表情はどことなく、寂しそうだった。