わたしをみつけて


「いすみー!帰ろー」

「うん」


私が由利と一緒になるのは学校の帰り道だった。
いつも皆が帰るピークの時間帯を避けて、人が少なくなった辺りで帰る。

前にも言った通り、由利は人気者だから学校にいる間はいつも周りに人がいる。
私はとてもじゃないけどその中に入っていく事は出来ないし、由利もそれを分かってくれていたから、学校にいる間、私と由利が一緒にいることはほとんどない。

私はそれでもよかった。
帰り道になれば、由利と二人きりになれるから。


「そういえば由利はどうして帰り道は皆と一緒じゃないの?」


ある日、ずっと気になっていた事を聞いてみた。
由利は私と帰るようになるまでは一人で帰っていたらしい。
由利のことだから、一緒に帰る人なら沢山いるのにどうして一人だったのだろうか。


「うーん。家の方向が違ったんだよねー」


由利は手を頭の上で組ながらそう答えた。


あれ?
でも今は私と一緒に帰ってるよね。
こっちに帰ってくる人は同じクラスにもいるけど…。


「…それとね。いつも誰かと一緒だと疲れるんだよね」


由利がペロッと舌を出した。
これは由利の癖だった。


「私はいいの?」

「いすみは大丈夫!なんか違うから。気楽にいられるんだよねー。あ、これ誉め言葉ね」

「あはは、うん。ありがとう」

「どういたしまして!」


私達は顔を見合わせて笑った。


「じゃあまた明日ね!」

「うん、バイバイ」



< 7 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop