わたしをみつけて
「いすみー!帰ろー」
「うん」
私が由利と一緒になるのは学校の帰り道だった。
いつも皆が帰るピークの時間帯を避けて、人が少なくなった辺りで帰る。
前にも言った通り、由利は人気者だから学校にいる間はいつも周りに人がいる。
私はとてもじゃないけどその中に入っていく事は出来ないし、由利もそれを分かってくれていたから、学校にいる間、私と由利が一緒にいることはほとんどない。
私はそれでもよかった。
帰り道になれば、由利と二人きりになれるから。
「そういえば由利はどうして帰り道は皆と一緒じゃないの?」
ある日、ずっと気になっていた事を聞いてみた。
由利は私と帰るようになるまでは一人で帰っていたらしい。
由利のことだから、一緒に帰る人なら沢山いるのにどうして一人だったのだろうか。
「うーん。家の方向が違ったんだよねー」
由利は手を頭の上で組ながらそう答えた。
あれ?
でも今は私と一緒に帰ってるよね。
こっちに帰ってくる人は同じクラスにもいるけど…。
「…それとね。いつも誰かと一緒だと疲れるんだよね」
由利がペロッと舌を出した。
これは由利の癖だった。
「私はいいの?」
「いすみは大丈夫!なんか違うから。気楽にいられるんだよねー。あ、これ誉め言葉ね」
「あはは、うん。ありがとう」
「どういたしまして!」
私達は顔を見合わせて笑った。
「じゃあまた明日ね!」
「うん、バイバイ」