わたしをみつけて


「ただいまー」

「おかえりなさい」


玄関のドアを開けるといい匂いがした。
お母さんが今日の夕食を作っているのだろう。


「今日はカレー?」


いい匂いに誘われ、キッチンに入る。


「そうよ」


キッチンではエプロン姿のお母さんが予想通り、カレーを作っていた。
テーブルにはすでに付け合せのサラダが置いてある。


「あ、ドレッシングが無かったんだった。
いすみ、悪いんだけど山田さんのスーパーまで買いに行ってきてくれない?」


「はーい」


私の家は母子家庭だった。
幼い頃に両親が離婚して、それからお母さんは女手一つで私を育ててくれた。
そんなお母さんに苦労をかけさせまいと幼い頃から積極的に家事を手伝ってきた。
その甲斐あってか、今ではほとんどの家事ができるようになっていた。


「いってきます」

「お願いね」
















「ふぅ。ラッキーだったなー」


帰り道、買い物袋の中にはドレッシングとキャベツが入っていた。

スーパー山田は個人経営の小さなスーパーだ。
私が生まれる前から営業しているスーパーで、私も幼い頃からよくお使いに来ていた。
それだからお店の人とは仲がいい。
今日もドレッシングを買ったら、いつもありがとう、とキャベツをサービスしてくれた。



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