大切な僕の思い出
「待ってろ」
俺はこいつを保健室のベッドに寝かせ職員室の保険の先生を呼ぶことにした
職員室は嫌いな方だ
先生方が生徒のためにと色々とプリントを作っているのに、生徒の俺が邪魔すると考えると職員室に入ることすら躊躇する
だが今はそんなことを言っている余裕はない
俺は職員室のドアをノックすると、職員室のドアを開いた
「失礼、2年A組の黒神、保健室の先生を呼びに来た」
俺はそう職員室に告げると先生たちは瞬き一つせずに俺を見た
それもそのはず、喋ることすらしない俺が、自ら喋らなければいけない職員室に来たからであった
普段から職員室なんて全く来ない生徒が来たもんだから、尚更驚くであろう
一瞬の硬直から先に動いたのは保健の先生だ
おしとやかなその先生は生徒からも信頼されている
そして生徒からしたら、可愛い先生らしいのだ
そんな先生が俺の目の前までひょこひょこと歩いて来て大袈裟にこう言ったんだ
「どうしたの黒神君!大きい怪我でもしたの!もしかして相談?」
「違います、保健室に女子生徒を寝かせて置いたんで見てあげて下さい」
そうやって俺は一方的に先生に言うと、その場から教室へと向かった
そして俺は気づいた
読書をしてる時間がなくなった重大なことを
生徒完全下校時刻をとっくに過ぎていた
ただ、不幸中の幸いとはこのことを言うのか
生徒完全下校を過ぎたということは、いわゆる俺を取り巻く目障りな女子がいないと言うことだ
これはなんと良いことなんだ
ただ思ったことがある
下校の時は女子生徒は部活をしているから俺に寄ってくる奴は少ない
とっても意味がないことを知ったのも事実となった
俺はスクールバックに本と筆記用具をしまい、教室を後にした
片道30分といたって普通な道のりを歩く
そして曲がることのない道をひたすら歩けば家に着く
とても楽な学校だ
坂もないこの道は、案外気に入っている
そして俺は真っ直ぐ家に向かって歩き出す