destiny
「いやぁ、活気だってるね。」
人が多く、さまざまな音や匂いが入り混じっている。
「じゃあまず、金魚釣りでもやります?」
翔が示した方を向いた瞬間、世界が止まったような気がした。
彼女がいた。
紺の地に花火柄の浴衣。アップにした髪によって普段見れないうなじが現われている。
やばい。可愛すぎる。
数人の女友達と金魚釣りをしており、無邪気に笑っている。
彼女の笑顔はレアだ。普段はクールで無表情なことが多い。
だからこそ笑ったときのギャップにやられる。
あらぬ想像をしてしまいそうになり、あわてて打ち消す。