destiny
席に戻ると、大樹は相変わらずだ。まったく何なんだ。
「大樹、私のポテト食べた?」
「食べてねーよ。」
「なんか減ってる気がする。」
「気のせいだろ。」
「まぁいいけど。」
それからしばらくたわいもない会話をする。
「そろそろ帰るか。」
「そうだね。」
私達は店を出る。大樹はいつも当たり前のように家まで送ってくれる。意外と紳士だ。
会話が途切れて無言になっても別に気まずくない。むしろ心地いい。大樹と一緒にいるのは楽だし安心する。
「んじゃ、また明日。」
いつものように家の前で別れる。
「送ってくれてありがとう。」
大樹は私が家に入るまで見届ける。玄関のドアを開けて振り向いて手を振る。大樹は片手を上げかえす。