destiny
「…嘘でしょ。」
信じられない。私は目を丸くする。
「嘘じゃない。ってか気付いてなかったのかよ。」
相変わらずの鈍感だな、と大樹は言った。
「ちょっと待って、頭の整理がつかない。つまりは、私は大樹が好きで、大樹も私のこと好きだったってこと?」
「まぁそうなるな。」
大樹はあくまで冷静だが私はそうはいかない。
「えっ!ちょ、まっ嘘?マジで?えっ」
「何あわててんだよ。」
「だって…」
私は恥ずかしくなってうつむく。
「初めての彼氏、なんだもん。」
私がそう言うと大樹はふっと優しく笑い、
「そっか、それは良かったな。」
ぽんと私の頭に手をのせる。大きな手のひら。なんか安心感がある。
「…なんか上からでムカつく。」
「なんでそーなる?」
二人で目を合わせて、笑った。
こうして、私の初めての恋が始まった。