図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
不細工ではないけれど
地味
真面目そう
そんな単語しか、浮かんでこない。
そいつに対する興味が、急速に
しぼんでいくのを自覚する。
でも、話しかけてしまったのは、オレだ。
名前だけでも確認しようと
腰をかがめて、そいつの制服の胸に
ついている名札を見た。
「しらかわ、さん?」
白川という名前の下に臙脂のライン。
オレと同じ三年だ。
(オレたちの学校は、学年ごとに色分けされている。
オレの学年は、臙脂。1コ下は、濃紺、もう1コ下は、黄色。
名札のラインとか、ジャージやスリッパがそうで、一目見ただけで、何年生かわかるようになっているのだ。)
同級生にこんなやつ、いたかな。
「何組だっけ?会ったこと、なくない?」
「…4組。中迫くんのクラスとは、
階が違うから。」
白川さんは、小さな目をパチパチさせながら
小さな声で言った。
へぇ~、意外。
オレのこと、知ってるんだ。
そんな気持ちが、顔に出てしまったのか
白川さんは、気まずそうに下を向いて
しまった。