図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
白川さんは、オレと目をあわせようともしない。


オレは、この気まずい時間を

とにかく早く終わらせたかった。



「…で、何してたんだっけ?」


「スピーチコンテストの練習…。」


白川さんは、さっきの堂々とした声とは

真逆の、小さな声で言った

歯切れも悪い。


「ふーん。」


たいして興味もなかったが、

とりあえず相づちを打つ。


そして、そんな気持ちも伝わったのか、

彼女はそれ以上何も言わなかった。


「そっかー。頑張って。ごめん、ジャマして。ごめんね!」


自分でも呆れるくらい、いーかげんな

声が出た。


白川さんも、きっと呆れているだろう。


でも、もういい。


きっと、もう話すこともないだろう。


オレは白川さんに背を向けて、さっさと歩き出す。


格技場を出よう。


みすずがオレを待っている。


格技場の出入り口から、陽が差し込んで


ホコリが舞っているのが見える。


オレは振り向きもせず、格技場を出た。


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