図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
「おそいー。」


体育館の裏口の、

上り口にみすずは腰掛けていた。


少し拗ねた口調が、かわいい。


「ごめーんねー。みしゅじゅー。」


オレも、その横に腰掛けると


みすずの肩を抱いた。


「…来ないかと思った。」


みすずが、上目遣いにオレを睨む。

もともと大きな目が潤んでいる。

それを縁どる睫毛にたっぷりと

マスカラが塗られている。


やっぱり香ってくる甘い匂いと、


こってり塗られたグロスには


気付かなかったふりをして


オレは、みすずの唇に


オレのそれを重ねる。


当然のように、舌を絡める。
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