図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
なんとなく


それ以上、気持ちがついてこなくて


オレは、密着していたみすずの肩を


柔らかく引き剥がした。


「…どうしたの?」


グロスの剥がれた唇で、みすずは訝し

そうにオレを見た。


「そーいえばさー。」



説明のつかないこの気持ちを

ごまかしたくて、オレは湿った雰囲気を

振り払うように、明るい調子で言った。


「4組の白川さんって、知ってる?」


女といる時に、他の女の名前を出すなんて。

秀真に言うと「サイテー!」って

言われちゃいそうだ。


でも、まあ

あの白川さんだ。

みすずもヤキモチ妬いたりはしないだろう。

…と思ったのに、みすずは機嫌悪そうに

オレを見た。


「はあ?白川さんー?」


トゲトゲした口調に、


みすず、ヤリたかったのかな


と、オレは間抜けなことを考える。
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