図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
みすずは、くっと唇の片端を吊り上げて

嘲笑った。


「白川って、あたしの隣のクラスの?

あの、チョー地味な子だよね。」


女子のヒエラルキーは厳しい。


恐らくみすずは、そのトップに君臨している。

そして、白川さんはまさにそのヒエラルキーの底辺だ。


オレたちのクラスにも、白川さんのような

タイプは数人いる。


絶対に男とは、しゃべらない。


女ばっかとつるんで、見た目も垢抜けない。


オレも秀真も、そーいうヤツには絡まない。

でも、絡まないだけで、別にキライじゃない。


そういうヤツらをターゲットにして

いじめるほど、オレたちは子どもじゃない。


話しかけられれば、きちんと答えるし

用事があれば、こちらから話しかけたりもする。


でも、たいていは何だか軽蔑するような

目で見られてるみたいで、オレたちは

ビビってしまう。


男子って、意外とかわいいものなのですよ。


しかし


女子は違う。


女子はクラス内のヒエラルキーを

より明確化させたがる。


いわゆるスクールカーストってやつだ。


ヒエラルキーのトップと底辺は、


ほぼ話をしない。


関わるのは恥だ、くらいに思っていのかもしれない。


みすずも「白川って」と

バカにしたような言い方で、白川さんの

名前を口にする。


さっきまでのかわいいみすずとは

別人だ。











< 15 / 51 >

この作品をシェア

pagetop