図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
それが、何?

すっかり白けた雰囲気で、みすずがオレに目だけで問い返してくる。


「いや、さっきさー。格技場の前を通りかかったらさ、

何か声がするわけよ。それで覗いてみたら白川さんが

スピーチコンテストの練習をしてたわけ。


本が好きです!


なんてめっちゃ大きな声で言ってたから、びっくりしてさ。」


自分でも、何言ってるのかよくわからない。


はっきり言ってどーでもいいことだけど、


なぜか、みすずにそれを言ってみたくなったのだ。


「好きなんじゃない、本が。」


彼女、図書委員だし。


とみすずは、たいして興味もなさそうに言った。


小さな手鏡を出して、乱れた髪を整えている。


機嫌悪そうだ。


そりゃ、そうか。


これからっていうときにやめっちゃったんだもん。


男でも気持ちがついてこない時があるって


初めて、知った。


自分でブレーキかけるなんて、驚きだ。


「みすずさぁ、進路とかどうすんの?」


雰囲気を変えようと思って、出した話題がまずかったのか、


みすずは明らかに不愉快そうな顔をした。


「はあ?何、いまさら?この間、言わなかったっけ?」





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