図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
聞いたっけ?


オレは首をすくめて前回、会った時のことを思い出す。


確か、雨が降ってて


「濡れちゃうよ。」


なんて言いながら、体育館の裏でヤッた。


まずい…。


ヤッたことしか、覚えてない。



みすずは手鏡をしまうと、乱暴に立ち上がった。


「チャイムなるし、もう行くから。」


切り捨てるみたいに言うと、みすずは振り返りもせずさっさと歩きだす。


短いスカート。


パンツ、見えそ…。


オレはちょっとかがんで、パンツが見えないか


確かめてみた。


パンツは見えなかった。


オレは声をかけることもできず、小さくなっていく背中を見送る。


違うんだよ。



本が好きです!



って言ってた白川さんの声が



本当にまっすぐで


澄んでいて



オレはちょっと感動したんだ


って、言いたかっただけなのに



みすずにうまく伝えられなかった。




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