図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
本当に何の気なしに


まさに気まぐれってやつ



オレは自動販売機を通り越して


反対側の校舎の階段を一段とばしに上がる。


図書室なんて


一年生のグループワーク以来


入ったこともない。




彼女、図書委員だし




みすずの声を思い出す。



白川さんもいるかなー。


反対側の校舎は、直接日差しが差し込まないせいか


少し涼しい。


オレは、カラカラと図書室のドアを開ける。


おお。


新鮮な空間がそこに広がっている。



机について勉強をしているのか本を読んでいるのか


数人の生徒が、ちらとこちらを見る。


…何、このアウェー感。


よそよそしい空気にオレは一瞬たじろぐ。


場違いだったかしら。


「中迫が図書室来るなんて、珍しい。この暑いのに雪でも降るかな。」


オレは、声の主を探して顔をあげる。


図書室のカウンターに座っていたのは


変な緑色のブラウスを着た、担任の河本先生だった。


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