図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
学校においていない本を、オレのために家から持ってきてくれた。


オレはちょっとうれしかった。



13歳レベルだと思われてもいいや。


読書力がない、と思われてもいいや。



夏休み、これを読んでみよう。



そうして、ほかにも何か読めたらサイコーだ。


「ありがとう。」


オレは、素直にそう礼を言った。


白川さんは照れ隠しなのか、真顔のままこくりと頷くと


例の、前のめりの歩き方で去って行った。


一緒に帰るっていう選択肢はないんだな。


オレは、小さくなる背中を見送って苦笑した。
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