図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
夏期講習の、過酷なスケジュールを


何とかやり過ごすうちに、あっという間に


夏休みは終わった。


夏休み前のダメな予想の通り、オレは


夏期講習を全然がんばれなかった。


全国統一模試も、塾のテストも


惨憺たる有様だ。


それでも、志望校すら決まっていない自分には


なんだかそれが他人事のように思えてならなかった。


夏休み中に、新聞にスピーチコンテストの


記事が小さく出ていた。




入賞 白川みずほ(星ヶ丘高 三年)



と出ていて、それを見つけたとき


地味にうれしかった。


重たそうな前髪や


整えられていないボサボサの眉毛


ぱちぱちとよく瞬きする目を


なんとなく懐かしく思い出し、誇らしくなる。


夏休みの間、会っていないだけなのに


ずいぶんあっていない気がする。
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