図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
校舎の裏側にはたくさん桜が植えられている。



すっかり葉桜になった桜の木たちは

もりもりと葉っぱをしげらせて、今まさに伸び盛りって

感じだ。



春が過ぎると、急速に夏が近づいてくる。



季節の移り変わりの

早いのなんのって。



もうすぐ夏休みじゃないか。



そういえば、進路調査票提出しなきゃいけなかったんだっけ。

びっしりと入れられた夏期講習のスケジュールを思い出す。



そんなことを考えていると、

オレは、急に気持ちが萎えていくのを自覚した。


まずい…。


このままじゃ、みすずちゃんとあんなことやこんなことができない。



気持ちを切り替えよう。



オレはまっすぐ体育館の裏に行くのをやめた。


体育館の表側と

格技場と呼ばれる、

ちょっと小型の体育館の

間の通路をのろのろした足取りで歩く。



格技場は、普段空手部や剣道部が使っている。

格技場に入ったことは、めったにない。


< 7 / 51 >

この作品をシェア

pagetop