図書室の白川さんー星ヶ丘高校絵巻ー
はっとしたように、人影がこちらを向く。


オレは靴を脱いで、格技場に上がる。


靴下の足の裏に、つやつやした

板の目を感じながら、オレは彼女に

近づいた。









そいつの輪郭がはっきりするところまで近づいて

オレは軽く失望した。


黒くて厚い前髪の下で、小さな目を不安そうにしばたたいている。

化粧っ気のない白い顔。

きっちり結ばれた臙脂色のネクタイ。

ふくらはぎの途中までの靴下が、薄暗い格技場の中で

やけに白く見える。


高校のパンフレットに載ってるような、


きっちりとした制服姿。


まずいな、オレ。


あの、まっすぐな声に何か期待してた?


超美少女との、衝撃の出会いってやつ?



おびえたような表情で、オレを見ているそいつは


俺が普段、絶対に絡むことのないタイプの

地味な女だった。












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