記憶をなくしたピアニスト
「……当たり前だ。
生きてなかったらおまえは誰に電話してんだよ」
『そんな冷たいこと言うなって。
今は生死を彷徨う状況なんだぜ。』
「まあ、そうだな」
『杏と涼菜も一緒だから。
ああ、ついでにヒムロンもね。』
ケータイの向こうから、
ついでにって・・・?とお怒りの
氷室の声が響く。
「ああ、みんな無事なんだな」
『当たり前でしょ!
あたしの生命力見縊ってないでしょーね。』
「あ、ああ、悪いな見縊った。」
元気な涼菜の声が
聞こえてきて、ほっと一息落ち着いた。