記憶をなくしたピアニスト
ふと、ピアノを弾きたくなって。

ウィーンから、共に帰ってきた、
両親の友達の双子の子ども。

……慧と桜子……に
教えてもらった音楽室へ。

ここは、慧が、地震の瓦礫を片づけて、
すごく綺麗になっている。

まあ、元々、新築の保育園のようで、耐震に備えた作りであったのであろう。

くそー!慧、
起こしてこればよかったな


そんなことを思っていると、
ピアノの音がして。

(――・・・・!)

俺はそのまま音のする方へ駆けだした。



(大丈夫か・・・・?
  夜に音がするって 誰かいるのか?)

音楽室のモーツァルトの肖像画が動き出す
とか、冗談でもない話はやめてほしい。
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