記憶をなくしたピアニスト
「…ん、誰か――…いるんですか?」

「――おっ、あっ、えっ、すみません!」
演奏途中で不用意に音楽室に入るなんて。
俺はデリカシーのなさにうつむいた。

「――いえ、気にしないで。
こんな時間に弾いてる私も悪いし…。

うるさかった?」

「全然!うるさいなんてとんでもないっすよ」
その少女はピアノ椅子から降りて
俺の方に近づいてくる。
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