記憶をなくしたピアニスト


いつも
俺は出来ないって

そうやって 言われてきたんだ。

俺だって

俺だって

言われなくたって真面目にやってるはずさ。
小さい頃から母のヴァイオリンに、父の指揮するオーケストラの音に、姉のピアノに………。

たくさんの音ばかりが
俺を誘い、俺を惑わせ

俺が普通の日常を送ることを
許さない。

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