自由奔放な恋愛達
彼の家は山の方で、ひたすら一本道を登って行く。
心配になって、電話する、
「本当にこの道なの?まだまだまっすぐなの?」
「大丈夫だよ、そのまままっすぐ。ローソンが見えたらそのローソンにいて」
ホンマにこんな山にローソンがあるんかい。
こころの中で悪態をつきながら、とにかく走る。
向こうで明るい光が見えてきた。
あれかなぁ?
「あ、ローソン!!」
多分これ程までにローソンに感謝した事はないだろう。
多分この先もないと思う。笑
着いた事を彼に電話する。
車のガラスをノックされる。
窓をさげると
「はじめまして。ここに車置いてこっちきてよ」
言われたままついていく。
ローソンの道路を渡って反対側の倉庫。
「ここ?」
「うん、今明けるから待ってて」
この人こんなとこに住んでるの?
なんて思ってたら車が入ってた。
「マジェスタ?」
「知ってるの?そう言えば愛ちゃんの車もホイールとかいじってたもんね」
嫌な記憶を思い出す。
「少しくらいなら。でも実物を始めて見たよ」
「もうこんな時間だから家は入れないし、車の中で話そうよ、寒いしさ」
車の中でいろんな話をした。
彼の名前は槙杜だった。
「じゃあ、槙ちゃんって呼んでいい?」
「いいよ。愛ちゃんはあだ名付けれないから愛でいい?」
「いいよ」
男の人とお父さんと店長とお客様以外で話したのは久しぶりだ。
楽しい人だった。
明日の日曜日に遊ぶ約束をして今日は帰る事にした。
あの長くて暗いひたすら一本道を。