タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしの願いは奴隷身分からの解放。


今ここでそれを願えば、あたしの命はきっと救われる。だけど・・・。


(じゃあタヌキたちは、どうなるの?)


頭の中に次々と、タヌキ達と共に過ごした山での日々が浮かんでくる。


お人好しなおタヌキ王。


お気楽で、どこか抜けてる可愛らしいタヌキたち。


ブランと食べた木の実の味。


寄り添い合った、温かい夜。


ふたりで眺めた山の黄昏。風に揺れる可憐な花。


・・・・・・・・・・・・。


違う! 違う違う!


あたしは眉間にしわを寄せ、ギュッと唇をかむ。


ブランはあたしを利用したんだ!


自分の白騎士としての望みを叶えるために!


あの笑顔も、優しい言葉も、温かい触れ合いも、全部うそっぱちだ!

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