タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしは大きく息を吸い、勢いに任せて一気に言葉を吐き出そうとした。


「王様、どうか私の奴隷の身・・・」

「お待ちください。国王陛下」


あたしが意を決して声を出した途端、女性の声がそれを掻き消した。


「臣下に下賜をお与えになるのであれば、このアザレアの願いも聞き入れてくださいませ」


・・・アザレア姫・・・?


イスに腰掛け、顔の半分を飾り扇で隠した姫。


今までムスっと黙り込んでいた姫が、突然なにを言い出すのか。


会場中のそんな注目が集まった。


王様がいぶかしそうに問いかける。


「願いとはなにか? アザレア姫よ」


「はい。間もなく迎えるスエルツ王子との婚礼の儀に、アザレアは身に着けたいものがございます」


「身に着けたい? 何をか?」


「わが祖国の王家は婚礼のさい、妃は国で一番重要な宝石を身に着ける習わしなのです」


「ほう? それは知らなかった」


「わたくしは幼い頃よりずっと憧れてまいりました。そこで・・・」


アザレア姫はそこでいったん黙り込み、もったいぶって言葉を続けた。


「陛下が手に入れられたという、伝説の秘宝『竜神王の目』をぜひとも身に着けたいのです」


伝説の秘宝? 竜神王の目?

なにそれ?? 聞いたことない。

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