タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
え? とこっちを向く王子に、必死に口パクで意思を伝達する。


ちょっとあんた! なにのんきにバトル観戦してんのよ!?


王vs姫なんてハイレベルな戦いを阻止できるのは、王子のあんただけなんだから!


立派に防衛して、ここで男を上げなさい!


「ひ、姫落ち着いて。わがまま言っちゃダメだよ」


王子は慌てて、懸命に姫をなだめようと試みる。


姫は扇の端から片目だけでジロリと王子を睨み付けた。


「王子様は、わたくしが侮辱されても平気なのですね?」


「ぶ、侮辱って、そんな・・・」


どっちかっつーと、侮辱してるの姫の方なんですが。


という、しごく当然な反論なんて言えるハズもなく。


「王子様は、わたくしとの大切な婚儀を、おざなりにされても構わないのですね?」


「おざなりだなんて・・・」


「つまりは、祖国を代表するこのわたくしを、おざなりになさると、そーゆーことなんですね!?」


うわあぁ、強引に自分を被害者にして、国交問題にもってきた!


王子! ちょっと王子ってばしっかりしなさいよ!


このままいったらヘタすりゃ婚約破棄よ!? まんまと姫の思うツボ!


そしたら下賜どころの話じゃなくなっちゃう!


ここで勝負に出なくてどうすんの!? ほら行けっ王子!


「そ、そんなことないよ! ボクは姫を絶対におざなりになんてしないと誓うよ!」


よおーし! 行った!

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