タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしはヘタンと腰を抜かして、王様の後ろ姿を見送った。


王様・・・行っちゃった・・・。


だらしなく開いた口からは、言葉も声も忘れてしまったように空気しか出てこない。


終わった。失敗だ。

あたしの人生はここで、もう・・・。


・・・終わり?

あたしはそれを、受け入れるの?


・・・いや、まだだ!


開いた口を、パクッと閉じる。


歯をぎゅうぅっ! っと力いっぱい噛みしめた。


まだ諦めない。まだ受け入れない。


望んだ願いは、確かについさっきまで、この指先に引っ掛かっていたんだ。


だったら、もうちょっと手を伸ばせば手に入るかもしれないじゃないか!


あたしは腹と両足に力を込めて立ち上がった。


王様に直談判する!

下賜を授ける約束をちゃんと果たしてくださいって頼むんだ!


ひょっとしたら不敬罪で捕まっちゃうかもしれないけど・・・。


それでもこのまま諦めたりするもんか!


決死の覚悟で、あたしは王様の後を追って走り出した。

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