タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
大扉を勢いよく飛び出して左右をキョロキョロ。


・・・いた! 王様の背中発見!


あたしは大急ぎで、王様の豪華なマント目掛けて駆け寄った。


「王様! 待ってください王様!」


王様の背中に飛びつかんばかりのあたしの目の前に、横から数本の槍がバッと飛び出してきた。


護衛の兵士たちが槍をクロスさせて、あたしの進行を阻んでいる。


どいてよ! 邪魔しないで!


槍の柄を握りしめ、グイグイ押しながらあたしは叫ぶ。


「王様! 約束を・・・どうか下賜を!!」


まだ怒りの冷めやらぬ王様の目と、あたしの必死な目が合う。


「男爵夫人か。何用だ?」


「あの、約束してくださいましたよね!? なんなりと願いを言えって、そう言ってくださいましたよね!?」


そうよ、確かにそう言ったのよあんたは!


ハラが立ってるのは十分に承知してるわ。


姫にムカついても外交問題上、波風をたてるわけにもいかないし。


なにより自分の跡取りは、もーあそこまでバカだし。


怒りの持って行き場がないんでしょ?


でもそれとこれとは話は別よね!?


男が一度言った言葉には責任もってもらいますからね!?

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