タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
ガンガン訴える眼力が功を奏したのか、王様の目から少しだけ怒りが薄らいだ。


「ふむ・・・そうだな」


顔だけじゃなく、体もこっちへ向けて話しかけてくれる。


「そういえば、下賜を与える約束であったな。申してみよ」


・・・・・・!!


やったあ!! あぁ、諦めないで良かったー!!


内心小躍りしながらも、慌てて気持ちを引き締める。


こ、今度こそチャンスを確実にモノにしないと!


まごまごしてたらまた誰かに邪魔されちゃう!


あたしはゴクリとツバを飲み、いったん息を整えて、それからすかさず願いを口にした。


「あの、私の奴隷身分を・・・」

「陛下、お待ちください。しばしのお時間をいただけますか?」


・・・・・・・・・・・・。


あたしは『を』の発音のまま口を開け、そのままガキッと固まってしまった。


・・・誰ーーーーーっっ!!?


なんなのよもう、信じらんない!!


狙いすましたかのように、また邪魔!? また!?


いったい誰よ!? 

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