タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
セルディオ王子はゆっくりとこちらに近づいてきた。


王様の前でヒザをつき、頭を下げる。


「父上、どうか兄上をお許しください。そして、兄上をとめてください」


王様はセルディオ王子の金色に輝く髪を、上からじっと見下ろしている。


王子様は、なおも王様に訴えた。


「軽々しく王子が国を空けるなど、民意を得られるはずもありません」


「・・・・・・・・・・・・」


「次期国王としての、兄上の権威にかかわります。父上、どうか兄上をとめてください」


・・・・・・確かにねぇ。


王家の人間がひとり移動するだけで、すごい経費がかかる。


それ、ぜーんぶ国民からの税金だもん。


「自分の女に高価な宝石送りたいから」って理由で、大量に税金使われたらねぇ~。


国民総員、思い切りムカつくわそりゃ。


スエルツ王子って、そこらへんのこと全っ然分かってないんだろうな。


やっぱりどう見ても、コッチの王子様の方が王としての器を持ってると思う。


つくづく残念。こっちが兄ならよかったのに。


ふたりを知ってる誰もがそう思うだろう。


だからきっと、余計な争いにならないようにいち早く継承権を放棄したんだ。この人。


うわさ通り、良くできた王子様だよ。人気があるのも納得だ。

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