タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
オルマさんが、無表情で淡々と説明を続ける。


「この国に竜神王の目が無いことは、承知しておりました。無理難題を王子に押し付けるのが目的でした」


はー。なるほどねー。

すべて姫とオルマさんの策略だったのかぁ。


それにスエルツ王子は、まんまと乗せられたわけね?


しょうがないか。あの王子とこの姫じゃ、踏んだ場数が違うもん。


世の中、女を敵に回すほど怖いもんはないんだよ。


こういうタイプは、特に。


「うまくいけば、王の怒りで婚約破棄・・・も、狙ったのですが」


「さすがに国交問題もあって、そこまでは無理でしたわね」


パンッと扇で机をひと叩き。

舌打ちせんばかりに、姫は悔しそうだ。


「・・・でもこれからどうするんですか?」


あたしは姫とオルマさんにそう尋ねた。


とりあえず、このまますんなり結婚って道筋は阻止したけど。


王子は王様の許可をもらって、秘宝を探しに行くんでしょ?


まぁ、簡単には見つからないだろうけど。


そう簡単なら、最初から王が手に入れているだろうし。


滅亡しちゃって人っ子一人いない国で、探し物をしたってねぇ。


姫はうなづきながら、答えた。


「その通りです。ですから、出番なのです」

「出番? なんのですか?」

「あなたのですわ。シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人」


・・・・・・・・・・・・

へ??


「スエルツ王子の秘宝探索に、あなたも同行してください」

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