タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
あたしはゴクッとツバを飲んだ。


無言でセルディオ王子を見上げ、真剣な目で問いかける。


そ、それって、つまり・・・


「私から、男爵夫人の願いを聞き入れるよう、父上に進言すると約束しよう」


ホント!? ほんとに・・・!!?


あたしの胸の中の、萎みきっていた希望の花が鮮やかに開き始めた。


闇の中に一筋の光が見える。


まさかこんな展開になるなんて、想像もしていなかった!


あぁ・・・・・・

もう断たれてしまったと思っていた道が、未来が・・・


もう一度、目の前に開けてきた!!


「もちろん、わたくしも力になることをお約束しますわ」


アザレア姫がイスから立ち上がった。


ドレスの裾を引きながら近寄ってきて、あたしの両手をキュッと握る。


「お互いシンパシーを感じた者同士、もうわたくしたちは、友です」

「アザレア姫・・・・・・」


シンパシーうんぬんの件は、とりあえず横に置いておくとして。


あたしと姫は、身分は違えど似た者同士。


確かに分かり合える部分がある。これも運命的な縁なのかもしれない。


この人の力になれるものなら、なってあげるべきかも。


だってこの人も戦っているんだもの。


運命の過酷な輪の中で、精一杯、生き抜くために。


・・・・・・よし!! 答えは出た!!


あたしは大きくうなづき、はっきり断言した。


「分かりました。私、同行します!!」


「きっとそう言ってくださると信じていましたわ! シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人!!」


あたしたちは手を握り合い、お互いの目をしっかりと見つめ合った。

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