タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
怒鳴りつけていたあたしの口が、そのままポカンと固まった。


いまの・・・なに? どういう意味?


端正な形の眉を吊り上げ、肩を怒らせるブランの頬が赤く染まっている。


自分の感情を持て余すように、イライラとあたしを見ている目。


その姿は、まるで・・・。

まるで・・・・・・。


嫉妬、しているような・・・。


そう思った瞬間。


あたしの胸に何かがパッと弾けた。


あたしの頬も、薄っすら赤みが差したのが分かる。


胸が、ほんのわずか、小さな音を立てた。


あたし・・・・・・

喜んでいる・・・・・・?


・・・・・・・・・・・・。


ち、違う! そうじゃない!


ブランが嫉妬しているわけがない!


だれが、ただの道具に嫉妬なんてするもんか!


これはきっと・・・そう、ただの独占欲。


オス特有の、自分の所有物に対する子どもっぽい支配欲にすぎないんだ。


それにあたしは、別に喜んでいるわけじゃない。


心臓が落ち着かないのも、頬が赤いのも、これはあたしが怒っているからだ。


あんまりブランが自分勝手だから、あたしは怒っているだけなんだ。


だから・・・だから・・・

だか、ら・・・・・・・。

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