タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
ああ! 努力すれば努力するほど、自分の首を絞めていく!


神様! さっきの暴言は急いで撤回します!


だからどうか、哀れな奴隷をお救いくださ・・・。


――ガサガサ・・・


突然小さな音がして、あたしはギクリと身を震わせる。


草を踏む足音? もう誰かが来てしまったの!?


うわあ! 謝罪が間に合わなかった!? 神様ごめんなさい!


いま! いま謝罪がちゃんと届きますって! だからどうかあたしの命を助けてください!


死にもの狂いでアセッて暴れまくってる間にも、足音はどんどん近づいてくる。


いやだ! 捕まりたくない! バカだんなの生贄になりたくない!


助けて助けて助けてたすけ・・・!


――ガサッ!


すぐ目の前の草が、ついに踏み分けられてしまった。


黒い何かが視界の端に見えて、あたしはギュッと両目を閉じる。


あぁ、見つかってしまった。

もう、ダメ。もうおしまいだ・・・・・・。


・・・

・・・・・・


・・・・・・ん?


なんの反応も、ない?


さぞかし、タヌキのワナにかかったバカな娘がいる!って騒がれると思ったのに。


あたしの耳には何も聞こえてこない。

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