タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
タヌキたちは、あたしの体に鼻を近づけ、クンクン匂いを嗅いでいる。


やめてー!

あたしよりも、山を下った所の大きな屋敷に、肉付きのいい中年男がいるから!


味の保証はできないけど! なんせロリ変態で粘っこいヤツだから!


そんなあたしの思いをよそに、タヌキたちはあたしの匂いをしばらく嗅ぎ続け、そして・・・・・・。


・・・・・・え?


あたしは両目をパチパチ瞬かせた。


いま、このタヌキたち・・・・・・


お互いの顔を見合わせて、うなづき合っていなかった??


いやまさかね。きっとあたしの見間違いだ。


タヌキがそんな、人間そっくりな動作をするなんて・・・。


――カパッ


突然タヌキが、全員揃って大きな口を開けた。


げっ!? まさか・・・!


タヌキたちは牙をむき、ついにあたしの体に一斉に噛みつき始める。


やっぱり食べられる! いやああぁー!


痛い! 痛い! 痛い! 痛・・・・・・


・・・・・・あれ? 全然痛く・・・ない?


不思議に思って見てみると、タヌキたちはあたしを齧ってはいなかった。


齧っているのは、ワナのアミ。


けっこう立派な牙をむき、しっかりと噛みついている。


まさかあなたたち、あたしをワナから助け出そうとしているの!?


・・・あぁ! なんて心がけの良いタヌキなの!?

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