タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「お願い降ろして! すみません船長、あたしここで降りますぅ!」
ただっぴろい海のド真ん中に、あたしの泣き声が響く。
スエルツ王子が苦笑いしながら、オルマさんに声をかけた。
「オルマ、ふたりに薬湯を飲ませてやって。ちゃんと持ってきてあるから」
や、薬草・・・?
船酔いに効く薬を、王子が用意してくれたの?
「小型の船は揺れが大きいからね。念のために用意したんだ」
「・・・嬉しいけど・・・ムリ・・・」
いま胃の中に何か入れたりしたら、噴水みたいに華麗に噴き出してしまいそう・・・。
「匂いを嗅いだり、口の中に少量を含んでいるだけでも違うよ」
「口の中・・・ううぅぅ~~・・・」
「・・・まぁ、どっちにしろ慣れるまで数日間はかかるから。覚悟しておいて」
オルマさんがふたり分の薬湯を持ってきてくれた。
爽快感のある匂いが、少しだけ胸をスッさせてくれる。少しだけ。
「風に当たった方が楽なんだ。ボクの部屋、バルコニー付きだから夫人に譲るよ」
「え? い、いいの?」
「うん。男爵は我慢してね。その代わり、大きな窓のついてる部屋を用意するから」
そう言って王子は、部屋替えの手配をするために立ち去った。
あたしは薬湯を手に、その後ろ姿を見送る。
意外・・・。けっこう親切で頼りになるヤツじゃん。
救いようのないバカ王子だって思ってたのに。
ただっぴろい海のド真ん中に、あたしの泣き声が響く。
スエルツ王子が苦笑いしながら、オルマさんに声をかけた。
「オルマ、ふたりに薬湯を飲ませてやって。ちゃんと持ってきてあるから」
や、薬草・・・?
船酔いに効く薬を、王子が用意してくれたの?
「小型の船は揺れが大きいからね。念のために用意したんだ」
「・・・嬉しいけど・・・ムリ・・・」
いま胃の中に何か入れたりしたら、噴水みたいに華麗に噴き出してしまいそう・・・。
「匂いを嗅いだり、口の中に少量を含んでいるだけでも違うよ」
「口の中・・・ううぅぅ~~・・・」
「・・・まぁ、どっちにしろ慣れるまで数日間はかかるから。覚悟しておいて」
オルマさんがふたり分の薬湯を持ってきてくれた。
爽快感のある匂いが、少しだけ胸をスッさせてくれる。少しだけ。
「風に当たった方が楽なんだ。ボクの部屋、バルコニー付きだから夫人に譲るよ」
「え? い、いいの?」
「うん。男爵は我慢してね。その代わり、大きな窓のついてる部屋を用意するから」
そう言って王子は、部屋替えの手配をするために立ち去った。
あたしは薬湯を手に、その後ろ姿を見送る。
意外・・・。けっこう親切で頼りになるヤツじゃん。
救いようのないバカ王子だって思ってたのに。